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森内竜王名人の「覆す力」、将棋エッセイコレクション [読書]

関東地方が大雪だった先日の土曜日に、将棋の朝日杯オープントーナメントの準決勝と決勝の計3戦がニコ生で完全生中継されました。準決勝は森内・渡辺戦と、羽生・豊島戦。しかも、解説に佐藤康光九段という豪華な顔ぶれ。

準決勝はいずれも穴熊戦、後手の羽生さんは雁木戦法。雪で寒いから、穴熊&雁木?というのは冗談として、穴熊で固めるのはプロでも好まれる戦法のようです。

午後からの決勝戦は、羽生三冠対渡辺二冠の戦い。準決勝で敗れた森内竜王名人・豊島七段も大盤解説会に登場するなど、普段ではめったに見られない、トッププロの局面検討も観ることができて、とても面白かったです。決勝戦では、3枚替えという派手な駒の交換が飛び交う中、一見不利と思われた後手の羽生三冠側が実は指せる局面だった、というすごい大局観で最後までミスせずに優勝しました。

さて、今日も寒かったですが、将棋関連の文庫・新書本の新刊をタリーズで読書してました。

1.森内俊之竜王名人が、将棋専門書以外の一般読者向け新書本を出すのははじめて。2013年は、将棋界の2大タイトルの名人と竜王の2冠を手にするなど、長時間の2日制のタイトル戦では、現在最強の将棋棋士です。16歳でプロ棋士昇格、25歳でA級からの名人位挑戦は、棋士として順調な経歴ですが、名人戦の対戦相手の羽生善治は七冠王になっていた!実績で水を空けられた相手(=羽生さん)にどう戦い、雌伏の時をどう過ごしたのか。世評を覆し、差を覆す秘訣は、己を知り、敗北を学ぶことにあった!

一般の社会人にも通ずるビジネス書としての読み物とすれば、最後の第6章「私の勝負哲学」がおすすめ。「逆転を許す悪手がある」では、「見えないプレッシャーを相手が感じてしまうことこそ『羽生マジック』なのだ」と喝破してしまうあたりが、第一人者ならではです。「二回目のミスが致命傷になる」は一般社会でもたしかに同じことがあり、なるほどと思います。

スポーツ観戦を例にした話では、アイルトン・セナのF1日本グランプリでの走りや、落合監督の日本シリーズでの采配(完全試合目前の山井投手を最終回に普段通り抑えの岩瀬投手に交代させたこと)、テニスの伊達公子対シュテフィ・グラフ戦の話が出てきます。また、羽生世代の故村山聖九段の闘争心についてページが割かれているのには心打たれました。

第1章の竜王戦では、なぜ2日目の昼食にカレーを食べるのか?という、いわゆる「カレー定跡」についても触れられており、おちゃめな側面も垣間見られて読んでて面白かったです。補足しますと、将棋ファンでは森内竜王名人がカレー好きとしてよく知られてまして、タイトル戦の中継ブログでは、昼食やおやつの画像がアップされることが多く、将棋ファンの間でも「食事・おやつ班」が存在します。

この竜王戦では5局とも2日目の昼食はカレーだったのですが、第1・2・4局に食べたのが「カツカレー」でこの3戦にはすべて勝利。一方、第3局に食べたのが「普通のカレー」。で、この戦いには敗北、どうでもいいっちゃいいんですが。ちなみに最終局となった第5局は富山県黒部の宇奈月温泉のカレーはカツカレーではなかったのですが、豪華なビーフカレーでした。ニコ生の川上会長との対談での質問では、「カレー定跡」について「変えづらくなった」との話。なお宇奈月温泉は、今度の棋王戦第3局でも対局場になってます。

覆す力 (小学館新書)

覆す力 (小学館新書)

  • 作者: 森内 俊之
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/02/03
  • メディア: 単行本


2.「将棋エッセイコレクション」は、観戦記者・フリーライターの後藤元気さんが編んだ、将棋エッセイのアンソロジー。昭和の古い時代のエッセイから、渡辺明二冠や最近のブログ記事まで幅広く選んでます。プロ棋士(先崎学さん、山崎隆之さんなど)、作家(山口瞳さんなど)、観戦記者からウェブ上の書き手まで、さまざまな「言葉」によって、将棋をより広く、深く、鮮やかに楽しむ可能性を開く名編を厳選収録してます。

その中には、今や株主優待生活で有名な(マツコの「月曜から夜ふかし」に登場して、自転車を走りまわしてる姿などで知られる)、桐谷広人さんが現役時代に書かれた貴重な反論記事も読むことができます。「対局日誌」と「緊急反論」のセットで読むことができますが、「(冗談半分の辛辣な発言が)活字になると全然違った印象を読者に与える」、「(故米長先生が指摘したような)愛情を持っていない文章」にならないように私も気をつけないといけないな、とも思ってしまいました。

将棋エッセイコレクション (ちくま文庫)

将棋エッセイコレクション (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/02/06
  • メディア: 文庫



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